【誰でも簡単】サイフォンでコーヒーを美味しく入れるコツ

サイフォンでコーヒーを美味しく入れるコツ

理科の実験のような仕組みを持ちながら、レトロな優雅さを感じさせてくれるサイフォン。サイフォンならではのデザインの美しさやコーヒーのおいしさで私たちを愉しませてくれます。
今までサイフォンでコーヒーを入れたことがない方は、ぜひ今までと違うコーヒータイムを愉しんでみませんか?
初心者でも愉しめるように、今回はそのサイフォンについての知識、必要な器具や入れ方、入れるコツまでをご紹介します。

目次

  1. サイフォンとは
     ①特徴
  2. 準備
     ①器具を揃える
     ②使用するコーヒー粉と使用量
  3. 入れ方
  4. 美味しく入れるコツ
  5. 最後

■サイフォンとは

サイフォンとは、蒸気圧の変化を利用してお湯を移動させてコーヒーを抽出する、演出効果が優れた抽出方法。

フラスコを加熱し、お湯を沸騰させると、フラスコ内に蒸気圧が発生します。蒸気圧によってお湯がロートに移動し、コーヒー粉と混ざり合ってコーヒーを抽出します。抽出後、加熱を止めることでフラスコの圧力が下がって、コーヒー液がフィルターを通してフラスコに戻ります。

この抽出方法は、19世紀にイギリスで発明されたといわれており、大正14年から『コーヒーサイフォン』として日本で広まりました。

サイフォンという隙間のない管を利用して、液体のある出発点からより目的地まで、出発点より高いところを通って導くメカニズムを利用してコーヒーを抽出するため、『サイフォン』と呼ばれるようになりました。

サイフォンのメカニズム
サイフォンのメカニズム

①サイフォンの特徴

・味が安定しやすい
これはサイフォンの一番の特徴です。ドリップ式は入れる人の技術によって味が左右されますが、サイフォンでは抽出時間を守ればブレの少ないコーヒーが入れられます。

入れ方はドリップ式より少し複雑ですが、プロセスを覚えるとドリップ式より安定した味が出せます。

・豆本来の風味が味わえる
サイフォンでは、コーヒー粉を高温のお湯に浸してコーヒーの味をしっかり引き出すため、より香り高いコーヒーが入れられます。また、コーヒーオイルも抽出されるため、よりまろやかな口当たりがあり、コーヒー豆本来の味を楽しめます。

・演出効果が抜群
蒸気圧を利用してコーヒーを抽出するため、器具のなかをお湯が上下します。視覚的なおもしろさがあり、抽出過程を楽しめます。また、おしゃれなデザインなので、使わない時にはインテリアとしてもおすすめです。

・浸漬式
サイフォンは、コーヒー粉を浸してコーヒーを抽出する浸漬式です。
豆の成分をしっかり引き出し、酸味、苦味や甘味など、豊かな味を味わえるのが特徴。浸漬式でコーヒーを抽出しますが、抽出時間が短いため、コーヒー味が濃くなることがありません。

■入れるための準備 

①器具を揃える

魅力のあるサイフォンコーヒーを自宅で味わえるため、まずサイフォン式コーヒーを入れるために不可欠な器具をチェックしていきましょう。

【準備するもの】

  • サイフォン(上ボール、下ボール、スタンド)
  • アルコールランプ(店を構える方はビームヒーターがおすすめ)
  • 竹べら(柄の長いスプーンも使えます)
  • ネルフィルター(サイフォン用のペーパーフィルターも)
  • 濾過器
  • メジャースプーン
  • カップ(&ソーサー)
  • お好みのコーヒー(コーヒー豆の場合、コーヒーミルも必要)
サイフォン道具一式

②使用するコーヒー粉と使用量

コーヒー1杯分(約100cc)にあたり、10gのコーヒーが適量で、挽き目は中挽きがおすすめですが、好みによって調整してください。豆の種類と焙煎度合いは自分の好みで選んで問題ありません。なお、コーヒーミルを持っていない方は、豆を購入したお店で挽いて粉にしてもらいましょう。

■入れ方

店やバリスタによって抽出比率がそれぞれ違いますが、今回はHARIOのテクニカを使用したおすすめの入れ方をご紹介します。

1.フィルターを用意して上ボールにセットする

まずはネルフィルターを濾過器にセットします。
新品のネルフィルターは、お湯で20分を煮て、汚れを除去してから使用します。すでに使用しているネルフィルターはお湯を通して温めます。
温めたネルフィルターを上ボールにセットして、竹べらでフィルターの位置を少し調整します。フックを足管に引っ掛けて固定します。(必ず引っ掛けたことを確認します)

フィルターを用意して上ボールにセットする

2.お湯を沸かす

杯数分のお湯を下ボールに入れ、しっかり外側の水分を拭きます。上ボールのゴム部分を下ボールに乗せるように斜めに差し込んで、アルコールランプにかけて加熱し、沸騰を待ちます。突沸を防ぐため、チェーンをお湯に沈めます。

上ボール
アルコールランプにかけて加熱

3.コーヒー粉を上ボールに入れる

上ボールに杯数分のコーヒー粉を入れ、平らにします。

コーヒー粉を上ボールに入れる

4.上ボールをまっすぐ差し込んで1回目の撹拌をする

お湯が沸騰したら、上ボールを軽く差し込みます。
お湯が上がってきたら、竹べらで粉をほぐす程度に数回かき混ぜて、弱火にしてからそのまま1分間を加熱し続けます。
※突沸を防ぐため、一旦熱源から遠ざけて、沸騰が静まってから上ボールを差し込み、再び加熱します。
※沸騰は、チェーンから泡が多く立つことで確認できます。

上ボールをまっすぐ差し込んで1回目の撹拌をする

5.火を消して2回目の撹拌をする

1分が経過したら火を消して、2回目の撹拌をします(うまく濾過するため)。上ボールのコーヒー液が下がるまで待ちます。

火を消して2回目の撹拌をする

6.温めたカップに注ぐ

コーヒー液が下がってきたら上ボールを前後に軽く傾けてはずし、フタに差します。温めたカップにコーヒーを注いで出来上がります。
※フタは上ボール立てとして使えます。

温めたカップに注ぐ

7.ネルフィルターの取り扱い

・使ったネルフィルターをしっかり流水で洗ってください。洗剤で洗うとその匂いが布に移ってしまうので、洗剤の使用は避けましょう。
・水洗いしてから、水を入れた容器に入れた冷蔵庫で保存します。次回使う時に、お湯をかけて温めてから使用します。

■美味しく入れるコツ

サイフォンは、使い方を覚えると初心者でも楽に使え、安定でブレが少ない味が出せるのが大きな魅力。
自宅でより本格的な味を味わうため、知っておきたい4つのポイントをご紹介します。

・やさしい撹拌
コーヒーを均一に抽出させるためには、撹拌が必要です。1回目の撹拌は素早く撹拌してお湯と粉をなじませます。2回目の撹拌はスムーズな濾過のため行います。
しかし、強く混ぜすぎると、コーヒー粉に圧力がかかりすぎることになり、雑味が出てしまう可能性があるため、やさしく行いましょう。うまくコーヒーを抽出するため、やさしい撹拌は大切なポイントです。

・抽出時間は1分以内に
サイフォンは浸漬式でコーヒーを入れるため、味が出やすいです。抽出時間が短いなら、薄い味になり、逆に長くすると雑味と渋味が出てしまいます。そのため、抽出時間は1分程度がおすすめです。
使用する豆の種類や挽き目によって味が変わるので、お好みで調整して、好きなパターンを見つけましょう。

・火加減(お湯の温度)
お湯が沸騰したのをしっかり確認してからロートをまっすぐ差し込みましょう。
お湯がまだ沸騰していない時ロートをまっすぐセットすると、低温抽出になり、コーヒーが溶けにくくてエグ味が出てしまうので、注意しましょう。
また、“バックロート”というフラスコに落ちて抽出したコーヒーがロートに戻ってしまう現象があります。コーヒー液が温度によってロートに戻って再び抽出されるので、渋味と雑味が出てしまいます。そのため、抽出後のコーヒー液に再加熱するのは厳禁です。

・抽出後のコーヒーカスの膨らみ
サイフォンでコーヒーを抽出したら、ロートの底にコーヒーカスが残ります。ドーム型で、泡が乗っていると、クリアな味が抽出された証拠です。

■最後に

サイフォンでは、抽出過程や必要な器具が多く、初心者にとって「難しいな、できないかも」と感じてしまうかもしれません。 しかし、各プロセスの注意点に気を付けて、やり方を覚えて慣れれば、ハンドドリップより簡単にコーヒーを入れられます。
また、同じコーヒー豆を使用しても抽出方法を変えると味わいも変わってきます。デリケートなサイフォンは、他の抽出方法と違った魅力があります。ハンドドリップを慣れている方やハンドドリップと迷っている方でも、こちらの記事を参考にしてみて、豊かなコーヒーライフを送るため、一度試してみてはいかかでしょうか。

【動画】

サイフォンの美味しいコーヒーの入れ方の動画

【Webストーリー】

サイフォンの美味しいコーヒーの入れ方のWebストーリー

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コーヒーステーション編集者
自分ではなかなか難しいコーヒー選びをサポートすること。コーヒー器具の開発、販売を手がける株式会社ハリオ商事自ら、コーヒーの淹れ方やコーヒー豆の選び方などを発信しています。

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